それは深夜2時を過ぎた、家族全員が寝静まった頃のことでした。ふと目が覚めてトイレに行った際、用を済ませてレバーを回すと、流れるはずの水がみるみるうちに便器の縁まで上がってきたのです。溢れ出す寸前で水が止まったものの、そのまま一滴も引いていかない絶望的な光景を前に、私は頭が真っ白になりました。明日の朝になれば家族全員がトイレを使う、それまでになんとかしなければならないという焦りから、必死にスマートフォンで「トイレつまり業者24時間」と検索しました。深夜ということもあり、高額な割増料金を覚悟しつつも、電話をかけた3社目でようやく「30分以内に伺えます」という心強い返事をもらいました。到着した業者は、眠い目をこする私を安心させるように落ち着いた口調で状況を確認し、手際よく作業の準備を始めました。床に大きなシートを敷き、壁に水が跳ねないようビニールで養生する姿を見て、プロに頼んで正解だったと確信しました。作業員の方が取り出したのは、見たこともないほど巨大な金属製のポンプでした。それを便器に押し当て、力強く何度か動かすと、ゴボゴボという大きな音とともに、溜まっていた水が一気に吸い込まれていきました。原因は、数日前に遊びに来た友人の子供が落としたと思われる、プラスチック製の小さなおもちゃが排水路のカーブに引っかかり、そこにトイレットペーパーが絡みついたことだったようです。作業員の方は、取り出したおもちゃを見せながら「これは自力では絶対に無理なつまり方でしたね」と笑って教えてくれました。作業時間は、養生や説明を含めてもわずか40分ほどでした。最後に、今後つまらせないための注意点や、水の流し方のコツまで丁寧にレクチャーしてくれました。支払いに関しても、事前に提示された見積もり通りの金額で、深夜料金を含めても自分の想定内に収まりました。もしあの時、無理をして自分で直そうとして便器を壊したり、汚水で家中を汚したりしていたら、被害はこの数倍になっていたでしょう。真夜中の暗闇の中で途方に暮れていた私を救ってくれたのは、確かな技術と、困っている人を助けようというプロの誠実さでした。お湯が出ることやトイレが流れることの当たり前の幸せを、その夜、私は改めて噛み締めました。