長年、現場で数多くの給湯器を修理してきた経験から言えるのは、お湯が出なくなる前には必ずと言っていいほど何らかの予兆があるということです。ガスコンロはつくし水も出るという状態で、突然お湯が止まったように見えても、実は数週間前から症状が出ていたケースがほとんどです。代表的な前兆としては、お湯になるまでに以前より時間がかかるようになった、お湯の温度が設定よりもぬるく感じる、あるいは使用中に突然水に戻るといった温度の不安定さです。これらは熱交換器の熱効率が落ちているか、温度センサーであるサーミスタの精度が狂い始めているサインです。また、給湯器からピーという笛吹音や、ボンという爆発的な着火音が聞こえ始めたら、非常に危険な状態です。これはガスと空気の混合比が崩れて不完全燃焼を起こしている証拠であり、そのまま使い続けると、ある日突然、安全装置によって完全にロックがかかり、お湯が一切出なくなります。プロの視点からアドバイスをするとすれば、お湯が出なくなった際にまず行ってほしいのは、給湯器の型番とエラーコードを正しく控えることです。電話で修理を依頼する際、この2つの情報があるだけで、我々業者は必要な交換部品をあらかじめ用意して現場に向かうことができます。特に10年を境にメーカーの部品保有期間が終了するため、古い機種の場合は修理自体が不可能なこともあります。ガスがつくからといって、給湯器内部のガス通路が正常とは限りません。給湯器の中には、ガスの量を細かく調節する比例弁という精密な部品がありますが、これが固着するとコンロは使えても給湯器は点火しません。また、修理を依頼する前に、給湯器本体のコンセントを一度抜き差ししてみてください。これで電子基板がリセットされ、数千円から数万円の修理代をかけずに直ってしまうことも実際に10パーセント程度の確率であります。ただし、抜き差しの際にパチッという火花が出たり、焦げ臭い匂いがしたりした場合は、基板がショートしているため、すぐに使用を中止してください。お湯のトラブルは生活の質を直結して下げてしまいますが、焦って高額な当日修理を謳う悪徳業者に捕まらないよう、日頃からメーカーのサービスセンターや地元の信頼できるガスショップの連絡先を把握しておくことが、最も重要な防衛策と言えるでしょう。
給湯器修理のプロが語る故障のサインと対処法