私が以前住んでいた賃貸マンションで経験した配管つまりの話は、今思い出しても背筋が凍るような出来事でした。浴室の排水口の流れが少し悪いなと感じ始めたのは、入居して2年ほどが経った頃でした。シャワーを使っていると、足元に少しずつ水が溜まっていく感覚がありましたが、しばらく待てば引いていくので、市販のカビ取り剤や洗浄剤を時々流す程度で済ませていました。しかし、ある日の夜、ついにその限界がやってきました。浴槽の栓を抜いた瞬間、排水口から「ボコボコ」という異音とともに、茶褐色の汚水が洗い場に向かって逆流してきたのです。慌てて栓を戻そうとしましたが、一度始まった逆流は止まらず、浴室の床はあっという間に汚水で埋まりました。さらに恐ろしいことに、浴室の敷居を越えて脱衣所の床まで浸水し始めたのです。深夜だったため、管理会社への連絡もつかず、私はタオルを敷き詰めて水を食い止めるしかありませんでした。翌朝、駆けつけた水道業者の方が専用のワイヤーと高圧洗浄機を使って作業を行ったところ、配管の奥から出てきたのは、想像を絶するような髪の毛と石鹸カスの巨大な塊でした。業者の方によれば、私の長い髪の毛が配管内のジョイント部分に引っかかり、そこに長年の石鹸カスや皮脂汚れが蓄積して、まるでフェルトのような強固なフィルターを作っていたとのことでした。この配管つまりによって、私の部屋だけでなく、階下の住人の天井にも水が滲み出しており、最終的には多額の修繕費用と謝罪に追われることになりました。この苦い経験から学んだのは、配管の違和感は決して放置してはいけないということです。浴室の配管つまりは、日々のブラッシングや排水口ネットの使用といった、ほんの少しの注意で防ぐことができたはずでした。現在は、週に一度は必ず排水トラップを分解して清掃し、月に一度は強力なパイプクリーナーで除菌を行っています。配管は見えないからこそ、そこにあるリスクを常に意識しなければなりません。水の流れがスムーズであることのありがたみは、一度それが止まって大惨事になってみなければ分からないものですが、私の二の舞にならないためにも、読者の皆様には早めの点検と清掃を強くお勧めします。