現場で20年以上、お風呂のトラブルと向き合ってきた職人の視点から、排水溝の種類別に注意すべきポイントを語ります。まず、日本で最も多いワントラップ式ですが、これを使っている方はお椀が浮いていないか、あるいは割れていないかを定期的にチェックしてください。プラスチック製のお椀は、熱いお湯を頻繁に流すと歪むことがあり、わずか数ミリの隙間ができるだけで強烈な臭いが上がってきます。もしお椀がガタつくようなら、パッキンの交換か本体の買い替えが必要です。次にユニットバスのドラムトラップですが、これは掃除の際に無理な力を加えないことが鉄則です。内部のパーツはプラスチックの爪で固定されている種類が多く、力任せに外そうとして爪を折ってしまうと、トラップ全体の交換が必要になり、床を剥がすような大掛かりな修理に発展しかねません。また、最近増えている細長いリニアドレインは、見た目はスタイリッシュですが、実はゴミが溜まりやすいという落とし穴があります。横に長いため、水の勢いが分散されやすく、端の方に石鹸カスが沈殿しやすいのです。この種類を使っているなら、1週間に1回はカバーを外して、ブラシで左右に動かしながら汚れをかき出す作業を忘れないでください。さらに、意外な伏兵なのが、海外製の高級バスタブなどに付いているポップアップ式の排水栓と一体型の種類です。これらはデザインを優先して排水管が細くなっていることが多く、国産の基準で髪の毛を流してしまうと、あっという間に詰まります。職人として言わせてもらえば、一番長持ちするのはやはりステンレス製のシンプルなトラップです。プラスチック製に比べて表面が滑らかでヌメリが定着しにくく、熱や薬品にも強いからです。どんなに優れた種類でも、髪の毛を放置すれば詰まるのは同じですが、構造に合った正しい扱いをしていれば、排水溝は30年経っても現役で働いてくれます。詰まりが起きてから慌てて強力な薬品を大量に投入するのではなく、まずは自分の家の排水溝がどういう構造で、どこまで分解できるのかを知ることから始めてください。それが、我々プロの助けを借りずに済む一番の秘訣です。